5年を超えて居住・保有してきた不動産を売却して売却損が出てしまった場合、確定申告でその売却損を、その年の他の所得と相殺して所得税や住民税を減らすという「損益通算」ができます。
そして、この損益通算しても赤字となった金額については翌年から最長3年間繰り越して所得から控除できる「譲渡損失の繰越控除」が利用できます。
今回はこの譲渡損失の繰越控除について、買い換えあり・買い替えなしの各ケースにおいて、どんな要件があるのか解説します!
不動産売却をして買い替えをする場合の譲渡損失の繰越控除の要件
不動産売却をして買い替えをする、というケースで譲渡損失の繰越控除を受けるためには、以下の要件を満たしている必要があります。
●売却物件の所有期間が売却する年の1月1日現在で5年を超えていること
●売却物件に売却損=譲渡損失が生じており、その年の他の所得と損益通算しても、まだ赤字分が残っていること
●不動産を売却した翌年の12月31日までに新しい不動産を住宅ローンで購入すること、また、買い替え先の不動産を先に手に入れる場合には、翌年の12月31日までに売却すること
●買い替え先の不動産の居住用床面積が50㎡以上であること
●買い替え先の不動産の住宅ローン融資期間が10年以上で、特例を受ける各年の年末に残債があること
ちなみに、譲渡損失の繰越控除期間中であっても、合計所得が3,000万円を超えた年は特例適用されません。
不動産売却をして買い替えなしの場合の譲渡損失の繰越控除の要件
買い替えなしで不動産売却だけをする、というケースで譲渡損失の繰越控除を受けるためには、以下の要件を満たしている必要があります。
●売却物件の所有期間が売却する年の1月1日現在で5年を超えていること
●売却物件に売却損=譲渡損失が生じており、その年の他の所得と損益通算しても、まだ赤字分が残っていること
●売却した不動産について、売却前日時点で返済期間10年以上の住宅ローンの残高が残っていること
●不動産の売却価格がその住宅ローン残高を下回っていること
買い替えなしのケースでも、合計所得が3,000万円を超えた年は特例適用されないという点は同じです。