住宅ローンの返済を滞納していると、最終的には競売にかけられてしまいます。
その前に任意売却をするのも一つの選択肢であり、それができれば強制的に不動産から退去させられることもありません。
一般市場で売却できるので、市場価格に近い価格で売却できる可能性も高いです。
しかし、なかにはそれができないケースがあります。
不動産を任意売却できないケースと、不可能な場合はどうなるのかについて解説します。
不動産を任意売却できないケース
任意売却とは金融機関(債権者)との合意のもとで行われる方法です。
そのため、金融機関との合意がなければできません。
合意できない理由の一つは、任意売却をしても債権者側の希望金額で売却出来ないケースや、債権者から承諾が頂けないケースです。
この場合、残債をどのように返済していくかを交渉し、合意を得られれば可能になります。
また、時間がないとできないケースがあります。
一般的には住宅ローンを滞納してから1年から1年半後に競売にかけられます。
競売にかけられてしまうと、止めることはできません。
任意売却は競売入札の開札日2日前までなら可能ですが、それを過ぎるとできなくなります。
しかし現実的には、競売の開札直前に金融機関が同意することは考えられないので、遅くとも強制執行が実行される前に準備が必要です。
さらに、不動産の共同名義人や連帯保証人が同意しないとできません。
通常、共同名義人や連帯保証人は配偶者や親族ですが、離婚して連絡が取れない、事情があって同意してもらえないとなると、不動産の所有者本人が希望をしても任意売却はできません。
不動産を任意売却できないとどうなる?
住宅ローンの滞納が続き、不動産の任意売却ができないとどうなるかというと、金融機関は裁判所に強制執行の申し立てをします。
その後裁判所は、債務者の財産の差し押さえと同時に不動産を競売にかけます。
競売で落札されれば、債務者は物件から立ち退かなければなりません。
ケースにもよりますが、競売をしても残債があれば、一括返済をすることになります。
競売での売却金額は、一般市場の70~80%となることもあり、残債が残ってしまうケースも少なくありません。
そのため、残債を一括返済が不可能な場合は債務整理の一つである、自己破産を避けるのは難しいでしょう。
ただし、自己破産をしても残債の返済義務は連帯保証人に残ってしまいます。
任意売却ができず、競売後の残債を所有者本人が一括返済できなければ、連帯保証人にも迷惑をかけてしまいます。
また、競売は一般市場での売却と異なり、売却金額が低くなるほか、周囲の人に競売にかけられたことを知られてしまう、引っ越し費用の控除もないなど、デメリットが少なくありません。
そうならないためにも、任意売却ができないとどうなるかをしっかり把握することが必要です。